1902年(明治35年)の今日1月23日、八甲田雪中行軍遭難事件が起きた。これは、日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が八甲田山で冬季訓練中に遭難した事件。
冬の八甲田山は重装備が必要だったが、指導部の無謀さから兵士は軽装のまま行軍を開始。猛吹雪の中で道を失い、寒さと飢えと疲労の為に210名が遭難。199名が死亡した。
事件の背景には、日本陸軍が冬季訓練を緊急の課題としていた事が挙げられる。陸軍は1894年(明治27年)の日清戦争で冬季寒冷地での戦いに苦戦し、そして更なる厳寒地での戦いとなる対ロシア戦を想定。その為の準備をしていた。こうした想定は、事件から2年後の1904年(明治37年)に日露戦争として現実のものとなった。
この事件を題材とした小説では新田次郎が著執した「八甲田山死の彷徨」、映画作品では東宝・シナノ企画の製作で1977年に公開された「八甲田山」がある。
小説を読んだのも映画を鑑賞したのも随分と昔の事であるが、この拙文を綴りながら、今、それらを想い起こしている。